2012年02月16日

第28章 唐 突

唐 突

政治・経済の授業が終わり、政治の話が
出た。一人が話した。
自民党が大多数で安定であるという。
皆もそう思っている、現実にそうである。
自民党は、第一党であり、これが覆る
ことはない、未来もそうである。
他の政党もそう思っているこの頃である。


これを聞いて、その人がいった。
何も考えず、やみくもに言ったことに、
「御爺さんが憲政会を作られた。これを
知らない自民党は、半減する日がある。」と、
こう言ったのである。この言葉はどういう
ことばであるかと、
「政治のことである。」という。
続けて、先日言った「金本位は早晩になくなる」と、
続けた。その人は、こんなことを平気で言う人である。
その人の、口から出たことで、深く考えずに
言ったのである。


 「アメリカ大統領は誰か」と、だれかが言った。
その人は「ニクソン大統領」と、答えた。
「ベトナム戦争も終わるだろう」という。
「本当か」と言う人に、軽く「終わる」と答えた。


 この頃は、ベトナム戦争があり、反戦機運の
出てきている。この地は、共産党色の強い所
であって、この共産党、共産主義に理解を示
す人も、知識人とみられる時が多々ある。
反体制といって、この言葉に、知識人を連想する、
そんな頃である。


 封建制度がよいという時もある、その人である。
鎖国もそうである。悪いことではないという。
こんなことを臆面もなくいう。


 先日の才媛が、これを聞き、「まじめな時に、
不真面目なことをいわないで下さい、
金本位がなくなるわけがない」というような
ことをいったのである。
その人は、真面目にいっているのである。
その人は、だまって、その鋭い言葉を聞く、
その人が、その場にいるにいられない、その
ように感じさせることばである。
詰問をするというような感じの言葉である。
心中で「なぜ不真面目か」というその人で、
周りもだまって聞いている。


 不真面目に聞こえるのは、周りがその事態を
考えられないからである。金本位を多くの人が、
信じて疑わないのである。パニックが起こるのは、
それを考えられない人たちの頭脳の中である。
その人達の、常識が根底から覆るからである。
世界の経済事情は、金本位がなくなっても、
パニックは起こらない。世界経済は、金本位を
意識することなく、健全である。金本位は、世界
経済の中の、一つの制度であり、過渡上に
あるものである。もっと便利なものがあれば、
たちまち、経済の制度は、それに移っていく。

世界経済は、そんな人たちの常識とは関係の
ない所にあり、そんな人たちの常識を超えた所
で進んでいく場合が多々ある。
これが、その人の考えである。周りの人に不安を
あおるためにいったのではない。金本位がなくなれば、
恐慌になる、国家に革命が起こるというのは、
あまりにも、考えがない人たちのいうことである。
恐慌、革命といったような、少しきけば、考えている
言葉のように聞こえるだけであって、決して、考えた
結果の言葉ではない。


 経済は、ゆうゆうと流れ、歴史を作っていく、歴史の
一員である。これを思う時、金本位制度は、世界経
済の中の、一制度であり、世界経済がよりよい制度に
なっていく時にはなくなる。時が進み、その制度があ
わなくなれば、あっさりと、その体(てい)を変える。
人為的になくしても、なんら、混乱は起こらない、
その人の考えである。


 金本位はなくなる、誰もこんなことを口にする
人はない。その人だけが、こんな
ことを口にする。金本位のお蔭で、安心して
暮らしていける、これが、世間の考えである。

 その人のいうことは、唐突に聞こえるだけであって、
特殊なものではない。その人は、落ち着いて、聞いて
ほしいと思うのである。けれども、そんなことを言っても、
頭から相手にされないのである。その人は、結論だけを
手短にいったのである。      


その人は、昼食だけを楽しんだ、それだけを思う。
先日の「よかった」ことは、周りもうって変わり、
その人は孤立する人である。


 自分は、周りには、受け入れられない考えをいう自分
であると、そう思う人である。これを、よしとする、
その人である。周りとは意見があわなくても、よいのである。
自分が思うことを、周りに気兼ねなくいう、その人である。

(その後 に続く)
(2012/02/15)
posted by 若軍 at 19:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説
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