2012年02月13日

第26章 昼 食

昼 食

 若い先生の教鞭の音終わり、
緊張から安堵の時である。
常の楽しみである。昼食の時。

 ここは、田畑の中、門をでると、石の階段
状の小高い所がある。
昔、競馬場であったという出で立ちで
ある。その馬場に建っている。
その見物台跡で、長い階段状の
石組みが一部残っている。
その階段の上は空き地で、
雑草と木が少し立っている。

 その人は、興味ある女性
に声を掛けた。
「ゆみを連れますか。ごぶをしきます。」
その人の家の古い言葉を、
現代の口語調にして、
古式豊かに、声を掛けた
。一般の古語ではなく、
その人の家の固有の古語である。

 女性は、びっくりして、答えに窮している。
何をいっているか、わからない。
そんなふうである。
現代一般用語で、「一緒にごはんを
食べましょうか」と、付け加えた。
快諾を得て、その人は、「外へ行きましょう」
と、手に弁当を持って、促した。

 うれしさ一入、並び歩き、
目的地へ着き、弁当を口にする。
話は、休みながら進み、
「ご馳走様」と女性はいう。
その人は、また、別な言葉
で表現をする。
「信濃の雪は、見事でありました」と、
こんなことをいう。
 女性は、少し考え、意味が取れ、
微笑みながら、
「立山さんは、詩人ですか」と、いう。
「詩は、今までは書いたことがあり
ません。作文も全くだめです。勉強の
出来は普通です。」 
今を素直に、その人は答える。続けて、
「子曰く、吾十有五にして学に志すと
いいますけど、僕は、そんなこと言わず
に普通に勉強しています。
わからんところも、たくさんあります。」
笑いながら、女性は聞いている。
「頭がよい人ですね。」と褒められた。
そんなことを屈託なく話し、才媛を
友の昼食は終わり、共に教室へ帰った。

 その人は、友から「よかったか」といわれ、
「よかった。才媛と信濃の雪はきれいだった」と、
答えた。「何、旅行へいったのか」と、
別人が尋ねる。「そうだ。弁当を持って一緒に
行ってきた。」と、女性もこれを聞き、一緒に
けらけらと笑い出し、「詩的な表現」と言った。
別人も理解を示した。

 「才媛有りて、共に見るや、信濃の雪、
 白き肌、白き雪、双白の春である。」
その人は、そう言った。皆は、少し考え、
微笑んだ。友は、皆よくできる人達である。
その人の喜びである。 

 快日、過ぎ行き、帰途に着く。良き友を得、
その人は、人生豊かを感じ、幾重にも、この地
良きを思う。丘。
(2012/02/13)
posted by 若軍 at 22:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説
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