2012年02月13日

第25章 春 雷

春 雷
  丘に春来(はるく)
  遠く、春雷を聞く
  之を春礼の同窓に見ゆ

 その人は、車窓を眺めている。
景色、緩やかに移り、山畑は春色を
呈して、音は朗らに耳を潤す。
すれ違う電車のパンタグラフに、
色青く、光がはじける。遠くに、春雷を
思わすかの如く、音が遠のく。

 やや、春来り、柔和な春雷の礼節をもって、
春が訪ね来る。その人は、之を「春来(はるく)」
と、表現する。園を行く電車を、山笑うという。
今を、「春来(しゅんらい)の電節」と、この一時を
楽しむ。低い山並みに所々植わる桜が、手を挙げ
春を迎え、踏み切りの畦に花が綻ぶ。その人の
園である。春の礼節である。

 春折り来たり、その人は降り立った人である。

 香春のみぎり、畦歩む、石をとみに、足寄る田
を、あざなう雲行く空を、薫る風にそよぐ香草、
たくましくあれ。

 そう、今日は、楽しむ吾である。
また、少し離れたところを歩む、女性ある。
親しく声をかけ、文持つ手軽く、同道の
道ゆく。また、一人が寄り添う、こんな
田舎の田中、今楽(こんらく)の園である。
園人である。

 今を春、時に日はその人を愛で、
惜しみなく、光を放つ。紅赤のはくいろ
(白色)である。三人三色。三様の宴である。
道を楽しみ、寸時の同行、寄りて、
門に花を見る。

 踏み読む、意思の月
 日数(ひかず)数えて、足のはや
 手をかざして、挨拶をする

 その人の、朝の始まりである。
(2012/02/13)
posted by 若軍 at 20:14| Comment(2) | 小説
この記事へのコメント
小林さんのものつくりには、不思議な感覚にいつも捕らわれます
Posted by 小多田嘉宏 at 2012年02月14日 19:00
いつも御愛読ありがとうございます。
文の推敲もしていず、頭に流れくる文をほとんどそのまま、書いております。
またできれば、お知らせします。
Posted by 若軍 at 2012年02月15日 20:34
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: